ヌシ 神か妖怪か
ヌシ(主)とは長いあいだ一箇所に棲み続けて、巨体になった生物のこと。
日本各地に棲む龍、大蛇、蜘蛛など日本のヌ…
ヌシ(主)とは長いあいだ一箇所に棲み続けて、巨体になった生物のことです。
本書は、川や湖、池、沼、深山幽谷、古城廃屋など、日本各地に棲む龍、大蛇、蜘蛛など様々なヌシを取り上げ、伝承や文献などの資料を交えて考察。人とヌシとのつきあい、ヌシの種類、ヌシの行動、ヌシの社会、ヌシと文芸、現代のヌシなど、多角的な視点から日本のヌシに迫ります。
[目 次]
序・ヌシと日本人
目次
第一章 英雄とヌシ
英雄たちの怪物退治/神話の英雄、伝説の英雄/ヌシの条件/登場人物の横顔
第二章 神・妖怪とヌシ
夜刀神の領分/国津神の末裔/神でもあり、妖怪でもあり/水木妖怪とヌシ
第三章 ヌシとのつきあい方
ヌシとの約束/ヌシと雨乞い/椀貸し伝説/共同体と個人
第四章 ヌシの種類
水棲生物のヌシ−蛇、魚、蟹など/虫類のヌシ-蜘蛛/陸棲動物のヌシ-牛/ヌシへの供物−馬と、人間体のヌシ
第五章 ヌシの行動学
人を襲う・テリトリーを作る/人に祟る/毒を吐く・昇天する・修行する/人をさらう・子孫を残す
第六章 ヌシの社会
沼神の手紙/秘密の地下水脈/引っ越しをする理由/物言う魚
第七章 ヌシVSヌシ
戦場ヶ原の神話/縄張り争いをするヌシ/助けを求めるヌシ/異類合戦
第八章 ヌシが人になる
物食う魚/干拓事業とヌシ/ヌシと暮らす/タクシー幽霊とヌシ
第九章 人がヌシになる
ヌシになった人/ヌシになる方法/幽霊かヌシか/実話怪談のなかのヌシ
第十章 文学のなかのヌシ
『八郎』と八郎太郎伝説/『龍の子太郎』と小泉小太郎伝説/『夜叉ヶ池』と夜叉ヶ池伝説/沈鐘伝説
第十一章 現代のヌシ
未確認動物とヌシ/怪獣とヌシ/ダム湖にヌシは棲むか/里山とヌシ
後書・ヌシの棲む国
注一覧
都道府県別ヌシ索引
《著者》
伊藤龍平(イトウリョウヘイ)
1972年、北海道生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。台湾・南台科技大学助理教授を経て、現在、國學院大学准教授。専攻は伝承文学。著書に『江戸の俳諧説話』(翰林書房)『ツチノコの民俗学』『江戸幻獣博物誌』『ネットロア』『現代台湾鬼譚』(謝佳静との共著)『何かが後をついてくる』(いずれも青弓社)『怪談おくのほそ道』『棗と石榴』(葉蓁蓁との共訳)(国書刊行会)『恋する赤い糸』(陳卉如との共著)(三弥井書店)など。
四六判:240頁 並製
発売日:2021年08月12日
出版社:笠間書院
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ひとひらbooks 選書テーマ
【この国に脈々と息づくものコト】