隣の畑は青々と
家族で農家を営む修司は、気候変動や後継者不在の将来に漠然とした不安を抱いている。
一方、隣家の入り婿・一樹は、義父との不和に悩みながらも、理想の農業を目指そうと画策中。
また、修司の妻・亮子や母・由美子も、閉鎖的な土地での役割や過去の澱を抱えながらも、小さな希望を見出そうとしている。
そんな中、地元で一番の成功頭であるメガファームで、従業員が立てこもるセンセーショナルな事件が発生する。
修司の一人娘である千沙や、メガファームの社長夫人、移住してきたカフェ店主など、誰もが屈託を抱えながらも「隣の畑」を過度に羨むのではなく、自らの土を耕し、静かに明日へ踏み出そうとする姿が瑞々しく描かれる。
『ともぐい』で直木賞を受賞、人間の愚直な生きざまを描き続ける、元酪農家の著者・河﨑秋子さんによる地元・十勝を舞台にした『農業×家族×生き方』小説。
《目次》
一章 芽吹きと憂い
二章 雨の日の十一時半
三章 大地のグラデーション
四章 由美子の呪い
五章 止まり木の陰で
六章 薄氷の日々
七章 新しい荒野
ページ数:224
判型:四六判
《著者》
河﨑 秋子(著)
1979年北海道別海町生まれ。実家は酪農家。2012年「東陬遺事」で第46回北海道新聞文学賞(創作・ 評論部門)受賞。14年『颶風の王』で三浦綾子文学賞、同作で15年度JRA賞馬事文化賞、19年『肉弾』で第21回大藪春彦賞、20年『土に贖う』で第39回新田次郎文学賞を受賞。24年『ともぐい』で第170回直木三十五賞受賞。その他の著書に『清浄島』『私の最後の羊が死んだ』『森田繁子と腹八分』『夜明けのハントレス』などがある。
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これはこれでいいじゃないか
農家に生まれた著者が、地元北海道と価値を舞台に異常気象、後継者問題、労使問題など農家のリアルな悩みを汲みつつ、時代の波に揺れる人々の葛藤と希望を生き生きと描いた物語。
